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書評『生きる職場』要約・レビュー (著者:武藤北斗)

生きる職場

たまたま、朝の情報収集で、この記事を読んみました。毎日の日課の情報発信でTwitterに投稿。

参考 「好きな日に働き、嫌いな仕事はやらなくていい」――“自由すぎるエビ工場”が破綻しない理由ITmedia

すると驚いたことに、ご本人からリツート!!これにはびっくり!SNSってすごい!

もっと詳しく知りたいと思って、書籍を買いに行って、帰り道読んで学びが多くて、記事を書くことにしました。書籍にもありますが、同じことはできないかもしれないですが、同じ考え方で環境を整備していくことはできると思います。

こういう会社の「仕組み」を作るコンサルティングをやりたいです。

「生きる職場」要約

STEP.1
人を縛らない職場がなにを生んだか
「フリースケジュール」と「嫌いな作業はやらなくてよい」の2つのルールがもたらすメリット
STEP.2
僕らを突き動かしたもの
東日本大震災での経験が綴られている胸が苦しくなるエピソード
STEP.3
いかにして人を縛らない職場にしていったのか
著者であり、工場長の武藤北斗さん自身がどのようにルールを整備していったのか?
STEP.4
エビと世界の意外な関係
パプアニューギニア海産がいかにして設立されたのかのストーリー
STEP.5
生きる職場の作り方
武藤さんが取り組まれてきたことを踏まえて、どのような考え方で、職場を作ることが良いのかが提示されている

著者の実際の経験から書かれた書籍であり、非常に納得感がありました。組織や仕組みの話だけではなく、東日本大震災を被災した当事者としての感情も赤裸々に書かれています。経験してない人間にはそこまで感じ取ることはできない心境も書かれていました。胸が締め付けられる思いがしました。

「生きる職場」要約 書評 レビュー

組織運営の本質

これぞ本質

「働きにくくしてしまっている要素を取り除けば、働きやすくなる。」という発想がベースにあります。

どうしても当日欠勤しないといけない事情ができてしまって、当日欠勤すると「申し訳ない」と思ってしまう。他の人に迷惑をかけたと思ってしまう。それが心理的なストレスになってしまう。それならそんなストレスがない状態にしてしまおう!それが「フリースケジュール」(出勤日自由、出勤時間自由)の考え方。

それぞれ従業員さんは状況や家庭環境が違います。それを知っていれば、「優しくなれる」たとえば、体調が良いか悪いかを見える化している○×ボードを設置しておけば、体調が悪い人には「優しく接すること」ができるようになります。そういった細かい気配りがルールになっています。

従業員さんと会社、従業員さん同士でも、信頼が構築できるルールが整備されているんだと思います。

そのルールは従業員さんを「縛り」「働かせる」「監視する」ルールではなく、従業員さん同士や、従業員さんと社員や武藤さんが、円滑な人間関係を構築しやすくするために必要なルール。

信頼を固くするために必要で、その信頼があるからこそ運用できるルールだと思いました。

パートさん、アルバイトさん同士のもめごとはどこでもある

エビVSエビ

僕もコンビニで店長をしている時は、パートさんやアルバイトさんの争いごとの対応に時間を取られていました。

一緒に働く以上は不満は出てくるものですが、環境を整備したりルールを決めることで、もめる前に解消できることが多いです。

  1. あの人は自分よりも働いていない
  2. いつも自分が嫌な作業をしている
  3. 休憩が長い
  4. 前の時間帯に終わってないといけないことが終わってない
  5. レジに全然気づかない
  6. 仕事が遅い etc・・・

キリがないほど、出てきます。本当によくそれだけ出てくるなと思うくらいでした。相互理解言い訳できない状況を作ることで対応しました。

①働いてないと②自分が嫌な作業をしている への対策例)
相互理解という意味では、お互いの役割を交換することが代表的です。働いていないと思っているなら、役割を交代してみようということで、交代する訳です。そうすると、「あれ?思ったより忙しいぞ。」と怠けていたわけじゃないことに気づいたりします。

相互理解が深まり、批判はなくなります。

③休憩が長い への対策例)
コンビニは交代で休憩をとります。人が休憩していて、自分が働いていると、人の休憩時間は長く感じるものですし、少しでも過ぎるとイライラしたりします。まず確認すべきは本当に休憩時間が長いのか?です。

確認した結果、長かった場合は、休憩時間になにをやっていたのかを聞きます。
少し仕事をしていたから、ちょっと長くてもいいと思った。
 →休憩中の仕事禁止
漫画に夢中で気づかなかった。
 →アラーム設定

④前の時間帯の仕事が未完了 への対策例)
前の時間帯がなぜ、終わらなかったのかを確認します。とても混雑して対応できなかったのか?サボっていたのか?それ以外のイレギュラーが起きたのか?体調が悪かったのか?
 →お客様が多かったとか、レジでトラブルがあったとか、説明すれば理解してもらえることが多いです。
 →毎回作業が完了していないのであれば、役割分担を見直します。

⑤レジに全然気づかない への対策例)
同じ時間帯の相方に聞こえるように大きな声で「いらっしゃいませ」を言うことで解決します。

⑥仕事が遅い への対策例)
ダラダラしているのは問題ですが、多く場合、迷っているか、探していることに時間を取られているので、遅くなっています。その二つにルールを決めれば解決します。

些細なことですが、その些細なことの積み重ねが人間関係の構築を阻んでしまいます。どんな些細なことでも、人間関係で不審をいだきそうな種はできるだけ取り除いておいたほうがいいです。

働きやすい職場はストレスの発生しないルールがある職場

nonストレス

会社を退職する理由でTOP10の中でも、上位に入ってくるのが残念ながら、人間関係です。人間関係が悪くなる原因は様々です。

原因が誤解や勘違いといった理解不足であることもあります。良かれと思ってやっていることが、やられている側は本当は嫌だった。

ルールが決まっていないから、同じ立場の人同士で意見がぶつかってやり方を否定しあう。

仕事の批判が人間性の批判に発展してしまうことはよくあることだと思います。論点が変わってしまいます。それに今議論している内容と異なる、過去の事例を出してきて、それを批判することもよく起こります。

相互理解が深まるルール誤解を発生させないルール、ルールがないことによる争いや批判といった弊害を起こさないようにしないといけないと強く思いました。

「疑い」「縛り」「争う」の3つが起こらないようにするルールが必要です。その答えが、パプアニューギニア海産の場合は「フリースケジュール」「嫌いな作業はやらなくてよい」に代表されるものだったようです。

この他にもいくつも著書の中で、ルールは紹介されていますし、失敗したルールも記載があります。よかれと思って設定したルールが逆効果になってしまうこともあるようです。

「フリースケジュール」や「嫌いな作業はやらなくてもよい」というルールを真似して導入するのではなく、相互理解が深まり、「疑い」「縛り」「争う」が起こらないルールを自社にあわせて整備することが必要だと思います。

働きやすい職場がもたらすメリット

エビのメリット

一番大きなメリットは、従業員が退職しないことです。勤続年数が長くなることで、熟練度があがる、新人を採用する必要がない、採用コストがかからない。

  • 商品品質の向上
  • 生産効率のアップ
  • 人件費の減少
  • 従業員の意識変革

武藤さんがルールを従業員さんと一緒に作っていることで、「意識変革」もできている点は大きなポイントだと思います。ここで一つ大切なことは最終的にルールを適用するかどうかは社員が決めることになっている。

従業員が勝手に決めてはじめないあくまで提案するところにとどめていることで統制がとれているのだと思います。

この部分は僕は一度失敗をしたことがあります。担当事業でルールを整備していくと、部下のメンバーからも自主的に意見が出てくるようになったです。それはすごくいいことだったのですが、僕も把握していないルールや、やり方がどんどん作られていきました。

それが声の大きな一人に有利なルールだったり、汎用性がなかったりとあらゆる弊害がもたらされてしまいました。

あくまで、現場は意見をあげ、提案する。決定は上司が行って、徹底していくのがよい循環を生むのだなと改めて、思いました。

食品に対する考え方

食に関しては強いこだわりをもっていません。でも、美味しいものを食べたいです。そして、エビは大好きです。

エビフライや海老天のエビは大きくみせるために、エビに切り込みを入れて、伸ばしたり、衣が大げさに付けられているのは、昔からあることで、商売ってそういうもんだと思っていました。

パプアニューギニア海産のエビフライは一切そういうことがないそうです。実際に写真を見ましたが、ぎっしり身が詰まっています。

第4章に出てくるパプアニューギニア海産の成り立ちと武藤さんの食品に対する考え方を読んでいて、視覚と味覚の美味しいや、体が健康として美味しいがバラバラだなと気づきました。

健康に良くて本当は体にいいものが、必ずしも味覚や視覚で美味しいとは限らないです。

味覚で美味しいものが、健康に悪かったり、視覚で美味しくないものもあるかもしれません。

一番多いのは、視覚で美味しそうだけど、味覚と健康に美味しくないものです。購入させるために、美味しそうにされているだけで、味覚は視覚によって錯覚されているケースが多いように思います。

視覚が美味しそうであれば、売れるので、味覚や健康よりも視覚が優先されてしまう。味覚や健康に美味しいものを作るより、視覚が美味しそうと思うものの方が安価に作れてしまう。

味覚、視覚、健康の3つの軸で考えた場合、味覚と健康で判断できない消費者にも課題があります。
視覚を優先し、味覚や健康への配慮がない商品を売れるという理由で販売する製造者側にも課題があります。
安価な価格でしか買えない、生活できない世帯がある社会にも課題があります。

様々な価値観があると思いますが、著者の主張が通る世の中であってほしいです。

僕は作っている人の人柄が最強に美味しくさせると思っています。同じ味付けで同じ料理であった場合に、感じが悪い料理人や生産者の方よりも、感じが良い料理人や生産者の方が作ってくれた方が美味しく感じると思います。

なんだかよくわからなくなりましたが、商品や料理のストーリーを知っていることが美味しいものをより美味しくすると思います。ストーリーがある商品は味覚、健康に美味しいものが多いです。

パプアニューギニア海産のエビは、この本を読まなくてもおそらく美味しいですが、この本を読んだから、きっとなおさらに美味しいと思います。

まとめ

まとめ

東日本大震災についても書かれていましたが、この記事ではあえてそこには触れていないです。震災を経験していない人間がなにかを書くことで誤解や、異なる意図が伝わるのが怖かったからです。

阪神大震災で、当時ボランティアで行った時、悲惨な惨状を目の当たりにして立ち尽くした気持ちが思い出されて胸が苦しくなりました。

この書籍は、会社としての働き方を問う、良書だと思います。なにがすごいのだろうかと考えていましたが、答えはおそらくトライしていることだと思います。

失敗しても、元に戻せばいいだけ、なにが失敗の原因だったかを考えて対策すればいいだけと、トライに対する心理的なハードルが低いのだと思います。それは武藤さんと従業員さん、従業員さん同士の信頼関係があるからよりスムーズにトライできるのだと思います。

人は変わることを恐れます。変化した先の未来を否定します。なぜか?変わらない方が楽だからです。それが長期的に楽になることでも、一時的な変わることへの心理的な負担を避けたがります。

そこを乗り越えることが、会社として、組織として、改善を積み重ねることができるかどうかポイントになると思います。

エンジンをかけてない車でも最初動かすのは大変ですが、動きはじめれば、それほどチカラを入れなくても動き続けます。

心理的なハードルを乗り越えて、自分たちが最高のパフォーマンスを発揮できる職場環境を作ることを共通目的として持てれば、パプアニューギニア海産のような会社が増えてくるのかもしれません。

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