マネジメントの役割は多岐にわたります。
マネジメントと調べると、ドラッカーをはじめ、たくさんの正しい知見を得ることができます。
この記事では、マネジメントの役割の一つである「職場環境を整えること」について考えていきます。
職場環境といっても、
「椅子はアーロンチェアにしましょう」
「デスクは木目がいい」
「フリーアドレスがいい」
といった、目に見える部分ではなく、精神的な部分にフォーカスを当てていきます。
その理由は、目に見える部分はすぐには変えられないですが、捨てたり、買い替えたり、お金がかかってしまいます。
目に見えない部分であれば、すぐに変えられます。すぐに実践できるからです。
着目したのは、スポーツのホームゲームとアウェイゲームの勝率です。
なんとなくですが、ホームゲームのチームが勝率が高いイメージがあります。
それはなぜか?それを職場に適用するとどうなるのか?
どんな職場でも、全部は適用できなくても、部分的に適用できるところはやってみてください。きっとチームの勝率があがるでしょう。
目次
勝率はどっちが高い?ホーム?それともアウェイ?

Jリーグの勝率

2017年J1リーグのホームゲームの勝率とアウェイゲームの勝率差を表したものを見つけました。SPAIA「スポーツ×AI×データ解析でスポーツの観方を変える」から引用させていただきました。
面白い結果になりました。
1位 ジュビロ磐田 +15.05
SPAIA:ホーム&アウェイ。Jリーグにおいてホームが有利なのかをデータで検証より
2位 ベガルタ仙台 +14.57
3位 川崎フロンターレ +13.57
4位 鹿島アントラーズ +13.41
5位 サガン鳥栖 +12.64
6位 ヴィッセル神戸 +11.19
7位 サンフレッチェ広島 +11.11
8位 北海道コンサドーレ札幌 +10.84
9位 清水エスパルス +10.18
10位 セレッソ大阪 +10.00
11位 ガンバ大阪 +9.71
12位 ヴァンフォーレ甲府 +9.09
13位 浦和レッズ +7.85
14位 アルビレックス新潟 +7.09
15位 FC東京 +6.44
16位 横浜F・マリノス +6.37
17位 柏レイソル +4.17
18位 大宮アルディージャ -2.12
18チーム中17チームがアウェイゲームよりもホームゲームの方が勝率が高いことがわかります。
これはすごいデータですね、ほとんどのチームがホームの方が強い!
これは僕の憶測ですが、サッカーも野球もチーム名に地名がついています。
野球は都道府県がついているのに対して、サッカーのチームの多くは都市の名前になっています。
このことがより一層連帯感を強くしている一つの要因になっている可能性はあります。
連帯感が強まれば、より熱狂的なファンが増えますので、応援にも力が入り、それがホームゲームの勝率に繋がっているとも言えそうです。
チームで戦う時にチームのメンバーとリーダーが意識しておいた方がよいことはTHE TEAM 5つの法則 要約 著:麻野耕司 感想まとめに書いてありますので参考に。
プロ野球の勝率

野球もデータがありました。
甲子園短期大学の瀧上凱令氏の論文「日本プロ野球におけるホームアドバンテージ」にありました。
ここでも面白い結果になりました。

セ・リーグのホームゲーム勝率 55.6%ーアウェイゲーム勝率 44.0%
パ・リーグのホームゲーム勝率 55.0%ーアウェイゲーム勝率 45.4%
セ・パ合計のホームゲーム勝率 55.3%ーアウェイゲーム勝率 44.7%
サッカーと同様に、プロ野球でも約10%ホームゲームで勝率が高いことがわかります。
なんとなく感覚ではホームの方が高いとは思っていましたが、実際にデータでハッキリ見えるとすごく納得感があります。
サッカーと野球だけ調べましたが、他のスポーツもおそらく、同じような傾向が出るのではないでしょうか。
イメージになってしまいますが、欧州のホームとアウェイの勝率の差はもっと大きいのではないかと思います。
応援も日本より過激なので、差がはげしいかもしれません。
では、どうして、ホームとアウェイで勝率に差がでてしまうのでしょうか?
全然関係ないですが、消費税は欧米より日本の方が低いです。興味がある方は消費税について考えてみた。まだ上がるのか、どこまで上がるのか。
なにが違うの?ホームとアウェイ

ホームとアウェイで勝率が違いがあり、ホームの方が勝率が高いことがわかりました。
では次にホームの方が勝率が高い要因を見ていきましょう。
- 勝利を期待されている
- サポーターの人数が多い、応援が多い
- 応援の熱量が高い(家族や友人なども観戦)
- 慣れ親しんだスタジアム
- 負けると容赦ないブーイング
- 勝利を期待されていない
- サポーターの人数が少ない、応援が少ない
- 応援の熱量が低い(家族や友人なども現地観戦があまりない)
- 慣れないスタジアム
- ナイスプレーには容赦ないブーイング
これらのことが考えられます。
他にも、アウェイチームは遠征で移動して疲れている。
「審判の判定がホームにあまい」という説もあるかと思いますが、ここでは触れません。
これらの項目が、なにかに影響を与えているので、勝率があがります。
なにに影響を与えているのか?というと、選手や監督、チームスタッフの「モチベーション」だと思います。
ホームでもアウェイでもボールや、バットは同じものを使っています、ルールも同じです。違うのは「モチベーション」だけです。
どの項目がどれくらい効果をもたらしているかはわかりませんし、もしかすると複合的な要素が、影響をしている可能性もあります。
でも、これらの要素が「モチベーション」になんらかの影響を与えていることは間違いないです。
モチベーションを下げない方法3分でわかる!モチベーションを高く保つ方法・積極性を失わない考え方がオススメです。
職場をホームにする 5つのマネジメントの役割

スポーツでホームの勝利率が高い理由が、「モチベーション」の違いであることがわかりました。
では、職場をホームにできれば、メンバーはモチベーション高く働いてくれて、勝率が上る可能性が高くなるといえるかもしれません。
そこで、職場をホームにするためのマネジメントの役割を5つ紹介します。
サポーターの人数が多い、応援が多い。
応援の熱量が高い。
慣れ親しんだスタジアム。
負けると容赦ないブーイング
→応援してくれる人が多い
→直属の上司が一番期待している
→どこになにがあるか知っている
→原因分析と対策を一緒に考える
成果を期待されている

スポーツでは、勝利を期待されていますが、仕事では成果を期待しています。
スポーツの勝利は「相手よりも多く点を取ること」であり、とてもハッキリしています。
それに向けて全員が自分の「役割」を精一杯果たそうとするから、勝率があがります。
仕事では「成果」を期待されています。
「期待してくれている、よし頑張るぞ!」となりますが、なにを頑張るのか?成果とはなにか?をハッキリとさせないとメンバーは頑張りたくても頑張れません。
個人のパフォーマンスが高い営業のポイントは売れる営業がやっている3つのポイントに書いてあります。
応援してくれる人が多い

サポーターは、チームが好き、選手が好き、仲間が好きなど、いろいろな理由チームを応援していると思います。
スタジアムで歌ったり、飛んだりはねたり、手を上げたりしています。
それを職場でも実践して、応援歌を歌ったりしましょう!という訳ではありません。
ファンやサポーターは「好意的な感情」を持っているから、応援しています。
ビジネスマンにファンやサポーターは、いないケースがほとんどです。
それぞれのチームや個人同士が、お互いにファンでありサポーターになり、それぞれが応援し合うことが必要です。
それをチーム単位から、グループ、部署、会社全体、業界、日本経済、世界経済とその応援の相互関係を広げていけば、すごく応援の数は増えていきます。
一人ひとりのメンバーの良いところを皆に共有して、お互いにファンになるようにしていけば、相互に応援し合う関係が成り立ちます。
褒めてくださいという訳ではありません、3分でわかる!褒めるマネジメントが失敗する原因と対策【初級】にポイントを書きました。
直属の上司が一番期待してくれている

スポーツでは、選手の家族が観戦に来て、その選手が活躍するとインタビューされたりします。
きっと家族が観戦に来ている試合はすごくモチベーションが高いと思います。
職場には、家族が見学に来ることはほとんどないです。
最近、福利厚生で子供の職場見学をしている企業はありますが、それでモチベーションが高くなるという影響も少ないと思います。
ビジネスパーソンにとって応援の熱量が高い、熱狂的なファンはだれか?
応援の熱量が高くないといけない人は、直属の上司です。
その次が同じチームのメンバーです。
だから、決して他の部署の上司に部下のダメなところや愚痴を言ってはいけません。
いつも誰よりも熱を込めて、期待し続けないといけません。
そして、成果が出せることを信じることです。メンバーを信じるためには正しい方向に努力をさせる指導が必要です。
人材育成については、3分でわかる!マネジメントの役割で最も重要なこと?人材育成の考え方とポイント【中級】がわかりやすいと思います。
どこになにがあるか知っている

慣れ親しんだスタジアムには知らないところがない状態です。
どの通路を通ればスタジアムに出れるのか?
シャワー、ロッカールーム、駐車場までの道もそうです。
知らないどころか詳しく知っています。
職場でも同じです。必要なものがどこにあり、どこに行けばいいのか、がわかる状態になっていることが必要です。
最新の提案書のファイルがどこにあるのかわからない。
請求書、見積書の雛形がどこにあるのかわからない。
そんな状態ではパフォーマンスは落ちてしまいます。
事務所の整理整頓だけでなく、共有フォルダの整理整頓も徹底しましょう。
原因と対策を一緒に考える

スポーツでは負けると容赦なくブーイングされます。
サッカーも野球もそうです。
勝つことを期待して、一所懸命応援したのに、負けたからです。
期待に答えてくれなかったから、ブーイングが起こります。
ブーイングは「期待しているパフォーマンスに届いていなかった」というファン・サポーターからのフィードバックです。
職場では、成果がでなくてもブーイングは起こりません。
職場での成果が出ない時は、フィードバックが必要です。
マネジメントの役割その1で「成果の基準」と「役割」は明確になっているので、そこと照らし合わせたフィードバックをすることでギャップを確認して次にすすめる事ができます。
成果が出ない=役割を果たせていない=フィードバックが必要
マネジメント能力を上げる5つのポイント!が参考になると思います。
マネジメントの役割はシンプル

だれもがホームで働きたい!

スポーツ選手のモチベーションが向上すると約10%勝率が高いです。
それと同じように、自分がいる職場をホームの状態にして、成果が出やすい環境を作ってみてください。
マネジメントの役割は、これだけではありません。
もちろん他にもたくさんの役割がマネジメントにはあります。
褒めたり、良いところを伝え合ったりするのはハードルが高いです。
嘘に聞こえてしまうこともあって逆効果になることもあります。
でも、誰でも応援することはできます!お互いに、応援しあって、みんなが実力以上のものを出せる環境を、作ることは大切です。
成果の基準と役割を決め、強みを共有し、役割を果たすと信じるまで指導するし、整理整頓し、フィードバックをしましょう!ホームが与える力はデータ証明しています。
職場をホームにできるように取り組んでみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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