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第二話:ブラック企業だけど、望んでいた環境

新卒で入社した会社を退職して、株式会社セブン-イレブン・ジャパンに入社することになる。

”漆黒”といえるほど”ブラック”な働き方をしていた。よく体を壊さなかったものだ。今では考えられない。

ただ、いつまでも働ける環境を思い切り楽しんでいたのも事実だ。この時の成功体験は今でも染み付いている。

どうして、ブラックな働き方を楽しめたのか?
何がそんなに楽しかったのか?
それによってなにを得て、なにを失ったのか?

「ワークライフバランス」という言葉が流行るだいぶ前の話であり、もはやこの働き方はされていないだろう。参考になるかわからないが、興味のある方はぜひ読んでいただきたい。

素直で正直すぎる面接

バカ正直

株式会社セブン-イレブン・ジャパンに入社することになるのだが、一次面接で大失態をやらかしてしまっている。

現在、セブンアンドアイホールディングスの本社は麹町に構えているが、僕が入社した頃はまだ、東京タワーの横にある昭和感たっぷり漂うビルだった。

やっぱり日本一の会社は東京タワーの隣にあるのか、すげーな!こんな会社で働きたいな!と思いながら、面接に行ったのを覚えている。

その時は、この面接が一生忘れられない面接となるとは思っていなかった。

面接官は50代の白髪まじりの”紳士なおじさん”

取り繕った志望動機を話し、無難に面接をこなしていた、合格する確率は50%くらいだった。最後の質問で合格する確率が0%になる。

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面接官

あなたは何を基準にコンビニを選んでいますか?

この質問に対する無難な回答は用意していなかった。とっさに出た回答は・・・

「距離ですね、一番近いところに行きます。商品なんてどこも同じなんで」

 

ドンッ!!

 

突然、紳士的な面接官が机を力いっぱい叩いた!それと同時に、こう言い放った

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面接官

なんでもいいから食べ比べてみてよ!”おにぎり”でも、”おでん”でもなんでもいいから、食べ比べてみてよ!!

それまでの紳士的な印象と違いすぎて、びっくりしたが、僕はわかりましたと席を立ち。面接のお礼を言って帰った。

帰り道にで2つのことを考えていた。

その時は、”怒られた”ことよりも、机を叩いて怒るくらい情熱を燃やして自分の会社の商品に自信を持っている人がいるんだ!と素直に思った。

それにしても、バカ正直に回答してしまったな、こりゃ不合格だろう。

働きたかったな〜、まぁ仕方がないな。

圧倒的な差

圧倒的な差

落ちたと思っていたので、食べ比べることもなく、毎日仕事をしていたら、エージェントから一次面接合格の連絡が来た。次が最終面接だそうだ。

セブンとLソンFマの3つで食べ比べることにした。

まず、セブンに行って「シャケのおにぎり」と「おでんの大根」を購入し、LソンとFマを回ったが、「シャケのおにぎり」がなかったり、「おでんの大根」がなかったりと何店舗か回ってやっと同じメニューが揃った。

そもそもLソンとFマは品揃えがなってないな!

 

食べ比べてみて本当に驚いた。

圧倒的にセブンの商品が美味しかった!

もう、その差は他のチェーンと比べ物にならなかった。

面接官が机を叩く理由がよくわかった。

 

その瞬間、絶対合格できるシナリオが描けた。

*今は、どのチェーンも美味しくなっているし、得意分野みたいなものも出きているので、そこまでの差はないかもしれません。もう10数年前の話です。

合格確定面接へ

最終面接も同じ人が対応してくれると勝手に思っていたが、今思えばそんなわけがない。2次面接の意味がない。全然違う人だった。

そこで志望動機は?と改めて聞かれた!来た!勝ったと思った。

僕の志望動機はこうだ


前回の面接の時、何を基準でコンビニを選ぶのか?と聞かれ、商品に差がないから、距離で決めるとお話しました。

面接官の方が、ものすごい形相で、「なんでもいいから食べ比べてみてよ!」とおっしゃったので、実際に食べ比べてみました。

そして、びっくりしました、こんなにも味が違うのか!とまた、品揃えも他のチェーンは充実していない、ことにも気づきました。

僕のように近さだけで、コンビニを選んでいる人に、セブンの美味しさを伝えたいと思います!


ウソではないが、多少演技をいれて、熱っぽく話したら、あっさり合格した。晴れて、東証一部上場のブラック企業で働けることが決まった。

気づいたら終電がない日々

さよなら終電

研修も終わり、実際に店舗に配属になった。東京豊島区の商店街にあるお店だった。商店街の終点に近いというか、終点にあった店舗。このお店は売上不振店だった。

僕は決して器用な方ではないので、とにかくガムシャラに自分に与えられたやらなければいけないことに、ただただ必死だった。厳しい環境を自分から望んで転職したから当然だ。

仕事に没頭する毎日だった。

気づいたら終電過ぎてたり、終電ギリギリで、誰もいない夜の商店街をダッシュしたり、家に寝るためだけにたまに帰る日々だった。

何にそんなに没頭していたのかというと、

 

「仮説と検証」

 

仮説:明日、どの商品が何個売れるのか?売るのか?どこに陳列するのか?

検証:仮説を立てた数が売れたのか?売れなかったのか?仮説が外れた要因はなにか?明日はどうするのか?

 

小売で働いていたことがある人は知っていると思うが、並べる場所、並べている数、天候、気温によって、商品ごとに売れ方が違うのだ。

その都度、売り場を変更する。

アルバイトの子たちが時間が来てしまって、売り場変更しきれなかった分も、やらないといけない。

自分が担当の売り場も、もちろんやる。

データ検証をする時間は必然的に夜になってしまっていた。

でも、データでは常にお客様に見える状態で販売し続けて、売れ残った数も、隠れてしまって商品がお客様に見えなくなっている状態で売れ残った数も、”ただの数字”になってしまう。

 

売り切れも同じだ、一人の人が大量に買ったのか?複数の人が1つずつ買ったのか?その両方か?というようなことは売場にいないと全くわからない。

 

そんなことを繰り返し、お客さまの動向を予想し、観察し続けて、結果を検証して、次の仮説を立てる。

 

その仮説を実証するために、売場を変更する。売りたいものを売れる位置にたくさん並べる。仮説に近づけるために、試食・事前予約・声かけ販売など行動をする。

 

陳列や販売手法で本当に売上が大きく変わることを何度も経験した。お客様に声をかけるだけで買っていただける量が増えることを経験した。

 

仮説があたった時は本当に嬉しい、でも、あたるなんことはほとんどない、どこかで成功しても、どこかで失敗している。だから毎日、考え、行動し続けるしかなかった。

この時期にPDCAが完全に染み付いた

できる側か?できない側か?

本当にそれが楽しくて仕方なかった。

いろんなことに気づき、わかるようになる。

一つの物事をいくつもの側面から考えないといけないこと。


その中で、自分なりの意見・仮説を行動に移していく、その結果を自分で確認して、修正して行く。

本当に馬鹿みたいに働いていたが、めちゃくちゃ楽しかった!週6日最低でも終電のような日々、完全にワーカホリックだった。

 

入社した時から決めていたことが一つだけあった。

それは絶対にOFC(他のチェーンはSV)になる。クビにされない限り、絶対になる。

しかも、3年以内になる。

だいたい入社してから3年が目安でそのポジションになれるのがロールモデルだった。

それよりも早くなれたら、自分の成長を信じる側になれる。

3年を過ぎてしまってたら、自分の可能性を諦め、この会社にしがみついて生きて行く。

だから、やるしかなかった、自分を信じて、できることをとことん突き詰めて、いくしかなかった。

労働時間だけ考えると朝からほぼ毎日終電というブラックな状況。

成長を実感し、楽しんでいるという意味では完全にホワイトだ。

学生時代からの劣等感を少しでも拭うために、ただただ仕事に没頭していた。友達との連絡はほとんど取らなくなって絶縁状態だったが、それでよかった。

売上がUPしなければ閉店

崖っぷち店長

商店街のお店とは別のエリアでの店長辞令が出た、ここも売上不振店だった。

逃げるように辞めた前任店長が残した、大量の不良在庫を抱え、シフトも安定しない、売り場も在庫置き場もめちゃくちゃ、いつ閉店してもおかしくないような状態だった。

僕が着任して売上を伸ばせなかったら、閉店する予定の店舗。

ここでもガムシャラに働いた。求人広告を出す予算はない。自分で作ったアルバイト募集のチラシを採用できるまで、ポスティングし続けた。もちろん勤務終わりの夜中に。

朝から晩まで週6で働いていたけど、辞めたいと思ったことは一度もなかった。人件費や廃棄ロス、不良在庫、棚卸し差異といった、「売り場を見る」だけではなく、経営の数字を見るようになったからだ。

売上を上げるために、「電話注文とお届け」をはじめたり、予約商品といわれる「お中元」「お歳暮」「クリスマスケーキ」「おせち」「恵方巻き」などのイベント商材の予約をお店の外にどんどん取りに行った。

この時に僕がこだわった事は、従業員が働きやすい環境を作ることだ。

とにかく、在庫置き場と売り場を徹底的に整理し、整理整頓されている状態を維持し続けた。

次は清掃を強化し、次に品揃え、次に接客とひとつづつ課題をクリアしていった。その結果、アルバイトは定着し、副店長は育成され、お店の売上・利益は昇格基準をクリアすることができた。

店長時代の失敗経験

失敗だらけ

まるで順風満帆のように書いているが、いいことばかりではなかった。

万引きを何人捕まえたか、わからないくらい捕まえた。
従業員同士が、いがみ合いシフトが一緒が嫌だとかでごねる仲裁。
覚えが悪い年配のパートさんに根気よく教え続けて、やっと覚えたら辞めてしまう。
深夜勤務や早朝勤務のフォロー
休みの日にも携帯が鳴り呼び出される
レジの現金が計算と合わないことも多く、それには本当に苦労した。

こんな経験はありませんか?
お店で一万円を出して買い物をしたのに、五千円と間違えて、一万円お釣りもらってしまった。とか、五千円で支払ったのに、店員が一万円と勘違いをしてお釣りが五千円多いとか。

当時はビデオテープでしか確認ができないから、レシートの履歴を見てあたりをつけて、そのやり取りをビデオで確認して間違えてるか見る。これだとわかったら報告する。めちゃくちゃ疲れるんですこれ。

極めつけは従業員がお店のお金を持ち逃げしてしまったこともあった。

とあらゆる失敗を経験してきた。

思い通りにいかないことも多くて、イライライライラしていた。

「まっちーすごい怖い顔してたよ」と当時のパートさんに今も言われる。

いろんなトラブルが重なった日に、深夜勤務のアルバイトが急遽体調不良で休み、朝からそのまま深夜勤務もしなければいけない時に、おでんの鍋を洗いながら、泣いてしまった。

努力が結果につながらないことが悔しかったのかもしれない。

この店長時代に、今もとても尊敬している上司に出会った。本当に感謝してもしきれない。その上司が店長時代に僕に教えてくれたマネジメントの極意がこれだ。

マネジメントの極意
  • 部下や従業員が思う通りに動かないのは、上司の伝え方が悪いからだ。全部自分のせいだと思え。
  • 採用は絶対に妥協するな!お店づくりを妥協することになる。

このページはプロフィールの第二話。第一話はこちら↓と第三話はこちら

転職した理由 第一話:新卒で就職した会社から、転職した理由 暗黒時代到来 第三話:仕事とプライベートのバランスが取れない