「メモの魔力」がベストセラーになっている。不況と言われた出版業界で一大旋風を巻き起こしている。
その前田裕二氏が「メモの魔力」よりも前に出版していた書籍がこの「人生の勝算」だ。もちろん編集は箕輪厚介氏。なぜ、前田裕二氏が魅力的で、人を惹きつけて離さないか。その理由が、この本を読むことで少し見える気がする。
もちろん本に書かれているのはごくごく一部で全てを理解することなんて到底出来ない。人間としての計り知れない深みを感じる。




目次
第1章 人は絆にお金を払う
①余白があること、
②クローズドの空間で常連客ができること
③仮想敵を作ること
④秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
⑤共通目的やベクトルを持つこと
人生の勝算 著:前田裕二
ビジネスの本質的な部分、何に価値を感じ人はお金という経済的な対価と交換するのか?その本当の目的は何で、どういう時に人はお金を”払いたくなる”のか。
ストーリーが人の感情を動かし、感情がお金を払う理由になる。
この章を読んだ時に思い浮かんだのが、スノービークsnow peakはアウトドア用品の会社だが、確かに上記5つが当てはまるように思えた。
ビジネスに役立つ情報も確かにある。それ以上にインパクトが強いのが、8歳で両親を亡くし、路上で弾き語りをしてお金を稼いでいたエピソードだ。
その中で、幼いなりに考えて考えて、導き出した一つの結論が書かれている。ビジネスに置けるヒントをみつける以前に、圧倒的に不利な状態から始まっている人生とそれに負けない「強い気持ち」に感動しかない。
改めて自分自身がどれだけ恵まれた環境だったか、努力せずに過ごしてしまったかを痛感した。
第2章 SHOWROOMが作る新しいエンターテイメントのかたち
自分に課された「運命」に屈したくない。P60
未完成であること。足りないもの、欠けている部分が見えているからこそ、視聴者が(中略)共感を寄せます。P69
人生の勝算 著:前田裕二
市場を分析し、攻める分野、分類を決める。ターゲットが明確になれば、施策も具体的になる。ファンの心理をファンになりきって考え抜く。常にお客様が何を求めているのか?お客様自身が気づいていないところまで気づき提供できることを考え抜く。
「前向き課金」と「後ろ向き課金」の考え方は、ポジティブなヒントになる。今のWEBサービスは「後ろ向き課金」をいかにポジティブに訴求するか!になっているように思う。
広告が消えることが、よりプライオリティが高いユーザーになった証にしている印象。収益面ではそのやり方が、インパクトが大きいかもしれないが・・・どこか違和感を感じてしまう。
課金、お金を払ってもらうことも気持ちよく、前向きに使ってもらうヒントがこの章にはある。
「運命」に屈したくない。
この一言に、心が震えた。「運命」なんて意識したことがなかった。ただなんとなく努力している振りをしていた。
改めて自分自身がどれだけ恵まれた環境だったか、努力せずに過ごしてしまったかを痛感した。
第3章 外資系投資銀行でも、求められたのは「思いやり」
とにかく人に好かれること P94
人を好きになる能力の方が、よっぽど大事だと思います。P102
プライドはコミュニケーションの邪魔になる。P113
人生の勝算 著:前田裕二
メディアで見る前田さんがなぜ魅力的なのか?結局、こちらに対してすごく好意を持とうとしてくれている。だから、こちらもそれに応えるように好きになってしまう。
人に好かれる。その前に、人を好きなる能力が大事。
自分の味方、仲間が増えた方が大きな影響が与えられる。出口治明氏の「知的生産性」に以下の記載があるが、この仕事量もスピードも一人では限界がある。それを最大化するには味方、仲間が多い方が影響力は強くなる。
影響力=仕事量×スピード
知的生産性 著:出口治明
人を好きになると一言で言っても、難しい。嫌なところも見えてしまう。そこばかりが気になってしまったりする。
人の悪いところばかり見ても、何も前にすすまない。人の良いところを見て、その良いところの能力を発揮してもらえるような関係になる方が、圧倒的に前向きだ。
第4章 ニューヨーク奮闘記
人の3倍の密度で生きる P145
自分について考えたノートを何冊作っているかP146
人生の勝算 著:前田裕二
もうすでに運命なんか関係ないじゃないか!と思えるほど、成功していると言っていいステージまで登っているのに、まだ、努力し続けている。
生きている時間が有限であり、それをいかに使うか!を真剣に考え続けて、無駄にしないように、有意義な時間にできるように必死で生きていたことがよくわかる。
第5章 SHOWROOM起業
肝はexecution P167
正しい方法で、やればやるだけ「必ず」成果が出せるから。P176
「夢は全力で手を伸ばした1㎜先にある」 P176
人生の勝算 著:前田裕二
ここではDeNA創業者の南場氏とAKB48のプロデューサー秋元康氏とのエピソードが主に書かれている。
アイデアではなく、”カタチ”にすることが大切でそれが一番大変。これは堀江貴文氏も全く同じことを違う表現で言っていた。その記事はこちら
夢は1ミリ先にある。これはいろんな方がいろんな表現で同じようなことを言っている。本当に成功するかしないかは少しの差で、その差を乗り越えられずに努力をやめてしまう人が多い。
第6章 SHOWROOMの未来
努力した人が公平・公正に夢を叶えられる社会づくりを、実現する。 P210
人生の勝算 著:前田裕二
ビジネス書を読みながら、泣いてしまったのは、初めてかもしれない。
僕の周りにも夢を諦めた才能あふれる人間がたくさんいた。
・ケガ・先輩のいじめ・監督の方針・交通事故・・
努力よりも、運に影響される世界があることは事実。
僕もビジネスの世界は正しい努力が結果に結びつくとは思っている。でもそれは、維持的な努力ではなく、努力の蓄積だと思う。
過去に積み重ねてきた努力との差は想像以上に広い。
そして、過去に努力を積み重ねた人間はその先も努力し続けていくから、気づくのが遅い僕のようなタイプはその何倍も努力しなければ勝てない。
努力をしないと差は広がり、いつまでたっても近づくことはない。せめて少しでも、前田裕二氏に近づけるように”正しい努力”を重ねていきたい。
「努力した人が公平・公正に夢を叶えられる社会である」ことを証明したい!
この本に出会い、前田裕二という圧倒的に努力をしている人間を知ることができたことに感謝しかない。
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