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第四話:仕組み化と戦略

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赤字の新規事業の責任者になり、事業を黒字化し、収益を出さなければいけない状況。

その時に、導入したCRMツール「Salesforce」

世界No1の(Customer Relationship Management)ツールだ。簡単に言うとお客様の情報を保管して、お客様との関係を深める為に活用するツール。

導入に伴い、すべてを設計した。そこから、ACCESSも導入し、QlikView(BIツール)も活用しはじめる。

ツールがなんでも解決するとは思っていないが、費用対効果を出せるのであれば、導入した方がいい。一つのツールで何人分もの仕事をすべてやってくれる。

今の会社名は「仕組み化合同会社」この、仕組み化の重要性に気づいたのがこの時期だった。

自分の強みってなんだ?

強みってなんだっけ?

セールスフォースを導入する際に、自分のキャリアについてもう一度考えてみた。

自分の強みはなにで、これからなにを強みに勝負していくのか?

というのも、このベンチャー企業では僕とほぼ同じ年齢のメンバーが、取締役だったり、事業責任者だったり、将来を期待されている方の新規事業責任者だったりと、みんなキラキラしていた。

そんなすごい人となにで勝負すれば、いいのだろうか?と考えるようになっていた。

当時の自分の強みは「しつこい」ことしかなかった。営業もマネジメントも「しつこい」できるまで諦めないことが一つの強みだった。

これは後日談がだ、新規事業を一緒にやっていた上司が辞めるタイミングで、新規事業を撤退して、僕に違うことをさせるという話しも出ていたようだ。

でも一人の子会社の社長が事業ごと拾ってくれた。その社長はハゲてないし、超イケメン社長だ。ストックビジネスがほしかったというのもあっただろうが、面白いやつだと思ってくれていたようだ。

ただ、「サザン・オールスターズ」が好きという共通点だけだったかもしれないけど。

その社長から「データマイニングに強くなれ!これからそんな時代になるし、この事業には必要なことだ。」と言われた。

確かに、セブンイレブン時代はずっとデータを分析していた。新規事業でもデータを分析するが、絶対量が少なかったり、そもそもデータを分析できる状態にすることに時間がかかる状況だった。

データマイニングは確かに今後必要だと思ったが、その時は正直ピンと来なかった。それよりもやらないといけない課題が大きかったから、その解決に注力していく。

自分の強みは結局、決めず。「今、そこにある事業に対する障害を取り除くこと」に集中していった。

最強のツール Salesforce!

最強ツール

事業は赤字だが、客数は増え続けていた。WEBの会社だったので、営業しないかわりに、広告で新規顧客を獲得していたからだ。

客数が増えるとエクセル管理では限界が来ていたし、チープなメール配信ツールでは機能が不足していた。

具体的な問題
●メールの誤送信。
●カタログの郵送は住所と社名が違うなどが頻発していた。
●未入金の履歴がわかりにくい。
●顧客対応の履歴がない。

その謝罪や、始末書の対応などに時間を取られる。

これらの問題を解決できるツールとしてセールスフォースを導入する。

セールスフォースを導入したが、カスタマイズの”自由さ”が売りのサービスなので、設計は基本的に導入企業がする。その設計をセールスフォースに依頼するとお金がかかる。

依頼する予算は到底なかった。自分で設計するしかない。

今でこそ、データベースの構造の知識やAPIのことをある程度理解しているが、当時は皆無だった。今の知識はこの時の設計で覚えざるおえなかったから、覚えたものだ。

セールスフォースのサポートに電話したり、セールスフォースに訪問したりして作り込んでいった。

セールスフォースの導入で意識したこと
  • 人が介在するとミスが起こる
  • 人が介在する部分を極力作らない
  • 人が介在せざるおえないところは、極限までわかりやすくする
  • できるだけシステムで完結させる
  • システムの制御で人為的ミスを防ぐ設計する
  • システムを活用するルールを整備(誰がいつなにをどうするのか?)
  • いつでも誰でも顧客対応ができる体制にする
  • 社員個人に依存する部分をなくす
  • 使い勝手は現場の意見を聞いてできるだけ対応する
  • セールスフォースの機能をフル活用する

少ない人員でミスが起こりにくい体制

少ない人員でも倍以上の顧客対応ができる体制

この2つを理想として設計を進めていった。

とにかく早く黒字化をしなければいけない。できるだけ、少ない人員で大きな売上になるまで対応できる体制をつくらないといけなかった。

営業人員を増やせば、売上が上がるような商材ではないし、そのコストを回収する間に、会社がこの事業をやめてしまう。利益が出る状態にするために手間がかからない「仕組み」をつくっていった。

作業をすすめる為に、会社に泊まることもちょくちょくあった、当時はマイ寝袋を事務所に置いていた。

セールスフォースで基本的な情報管理の部分だけ先に完成させた。とりあえず実装を優先した。その他の情報は随時追加で対応していた。徐々に形が出来上がると、今までルーティンでいつの間にか一日が終わっていたのに、余裕が出てきた。

以前のような、メール誤送信、住所のエラー、履歴管理で困るようなことは一切なくなった。もはや革命といれるほど、劇的に改善された。

しかも、セールスフォース導入前は5人で回していたのに、2.5人くらいで回せるようになった。

この頃社長に、この事業で売上いくらになったら、子会社化したい、いずれMBOしたいという話をしていた。「いいんじゃない!」と言われてヤル気満々だった。

次は売上を伸ばす戦略

売上を伸ばせ

効率化されても、売上が上がらなければ、事業は継続されない。成長しない事業など、ベンチャー企業には不要なのだ。

とりあえず、関わる人が減ったので、黒字になる月もあった。まだ不安定だ。次は売上を伸ばす必要がある。人員はほとんどいない、新卒の営業が一人くらいだ。

この時にできるだけ人を掛けずに勝手に伸ばせることはできないか?を考えた。扱っていたBtoB通販はオフィス用品だった。口座を開設しても、他社で安い商品が見つかるとそっちで購入してしまう。常に需要の取り合いの世界。すでに市場は飽和している。

ただ、商品とサービスの特性上、多店舗展開しているところとの相性は良い。

何故か?

本社が経費をコントロールしたいから、上限金額の設定や承認機能を本社は欲しがっていた。

BtoB通販は利益率が低いので、営業が訪問して丁寧に使い方を説明するようなことをしている会社は少ない。

多分勝てる3つの戦略を立てた。

3つの勝てる戦略
  • 店舗や拠点が増えていく産業をターゲットにする
  • 代理店を開拓する
  • 多店舗展開している企業は、訪問して個社ごとにカスタマイズする

店舗や拠点が増えていく産業をターゲットにする

よーく狙って

メインターゲットは、介護施設と保育園

介護施設は子会社ですでに、老人ホームの紹介事業をしており、介護施設とつながりがあった。そちらで顧客を持っていた。今までも、社長に動いてもらい、先方の取締役に動いてもらって、導入してもらっていた。

でも、本社は導入したつもりでも現場に徹底されず、利用金額が伸びていない状況だった。そこで本社は統一してコストと手間を削減したいという意向があったので、本社の許可を得て、関東近県に展開している老人ホームには直接訪問して、使い方を説明して回った。

自社のブックマークを登録して、他社のブックマークを消してしまうw(もちろんお客様承認済みで)。利用状況が悪い施設には、なんで使わないのか?を聞きに行ったり、よく使ってくれる拠点の人に、利用状況の悪い拠点をどう攻略すればいいか?相談して、対策をしていった。

そう、僕のつよみは「しつこい」ことだ。

それと保育園も毎年ものすごいスピードで増えていた時期だった。待機児童を減らせ!と今でも言っているが、横浜が待機児童ゼロにしたくらいのタイミングだったと思う。

WEB経由で保育園で登録してくれたところに営業に行き、全部の園で使っていただいたり、顧客を紹介してもらったりしていった。

利用状況が伸びない拠点には、電話したり、訪問したりして徹底した。そして、その状況を本社側の担当者に報告し続けていた。その情報がいるか、いらないかはわからないが、本社側の担当者のミッションとしてはコストダウンがあった。

うちのサービスを使うとコストが下がる、工数が減る事は提案済みで導入の決済をとっている。
利用が徹底できている=コストが下がっている=担当者の評価が上がる
の構図になるので、担当者個人の利害関係まで対応できていた。

ここまでやると担当者とも関係ができる。客先で会社から定期的に取引先の見直しが担当者に指示が出る。
その時期になると、担当者から競合他社との価格比較表の作成や、社内の稟議提案資料の依頼がくる。僕がその担当者の仕事を肩代わりしていたのだ、絶対にうちのサービスが得になる資料を作る。ここまで来ると絶対に取れる出来レース!

そして、やっと売上が順調に伸び始める。

代理店を開拓する

ミッション代理店を開拓せよ

実は、BtoB通販事業は代理店契約をして販売している事業だった。うちの会社がすでに代理店なのに、その代理店が更に代理店を作る、つまり2次店を開拓する戦略をたてた。

2次代理店が営業すれば、勝手に売上が上がる!

さて、BtoB通販はすでに代理店が何千店とあり、サービス側の直販ももちろんある。そんな真っ赤な、”どレッドオーシャン”の事業をやりたがる会社など皆無といってもいい。

そこで考えたのが、すでに競合他社の代理店をやっている企業に、うちが担いているサービスをもたせれば、失注している企業から、受注が取れますよ。と提案すれば取れるかもしれない。

つまり競合の商材も自分のところで品揃えとして持ってしまいましょう!という提案だ。

あとはできるだけ、都市部は避けて、店舗が少なめな地域を狙った。買いに行くことが不便なエリアだから、100円均一とかが近いとそこに買いに行けてしまう。

何件電話したか、わすれたが、岐阜で3件アポが取れた。「よっしゃー!」読みがアタたった!でも訪問しないといけない。経費がかかる。経費を最小限に抑える為には代理店契約を1回の訪問で勝ち取って来るしかない!

社長にも「訪問してもいいけど、絶対とってこいよ!」と言われ「はい!」って感じで出張へ

結局3社中1社が代理店契約をしてくれることになり、「絶対とってこいよ!」にも応えることができた。

でも、この戦略は2次店の成長が遅いことと、更に薄利多売の世界に突入するので、開拓はストップした。

多店舗展開している企業にはカスタマイズ

100店以上展開する花屋さんを2年がかりで獲得する。承認フローなどをカスタマイズして今後の新店も含め、受注。

他にも貴金属買取屋や、車の買い取り屋、結婚相談所などの本社の要望に応え、カスタマイズして簡単に乗り換えられない状況を作り、新店含め継続利用をしてもらえた。

これらの戦略が功を奏し、既存顧客を離さずに、新規顧客を上乗せしていくことができた。

簡易裁判所に通うのをやめる

裁判やーめた

通販事業の一つのネックが、未入金だった。法人向けサービスでまだ、クレジットカード決済が認めれていないサービスだった。

振込で取引を開始して、高額な注文が入って、与信OKを出した企業から振込がない!ということもあった。

未入金が回収できないたびに、簡易裁判をするのだが、相手が裁判所に来ることはまずない。結局なにも回収できないまま、会社に回収できませんでした。と証明するために手続きをしていた。

会社にクレーム!取り立て屋をよこすとはどういうことだ!?

金を払え!

もちろん、簡易裁判をする前に、都内近郊であれば、責任者として訪問し回収をする。当時僕はメガネもかけていなかったし、セットアップのスーツを着ていたし、何より、髪型とあえていうが、スキンヘッドに近い坊主だった。目つきはいい方ではない。

アイコンのイラストはニコニコしているが、実際はコワモテと思われることが多い。

そんな僕が、責任者として、未回収の売上を回収するために「しつこく」ピンポンを押し続けていたら、僕の携帯がなった。

社長からだった。「お前今なにやってんの?」

僕「未入金の回収でお客さんとこに来てますが、ぜんぜん出てくれないんですよ。」

社長「声荒げたり、してないよな?」僕「出てくれないから話もできません」

社長爆笑!

代理店契約をしている本部側に未入金のお客様から電話でクレームが、はいったらしい。「取り立て屋をよこすとはどういうことだ!そんな契約にはなってないだろう!」というものだ。

もう諦めていいから、帰って来いということだった。

僕はしつこいので、それまでにも何回か訪問してた未入金の顧客だった。

それ以来、どういう傾向の顧客が未入金が多いのか?こちらが許容できるリスクの範囲。購入する商品と個数によって、取引基準をかえるなどの、ルール整備を徹底する。

そのルールを守る役割を任したメンバーが徹底して守ってくれたおかげで、それ以降は月商3000万以上なっていたが、未入金はほぼ0円だった。

大幅に改善したので、ルールを徹底してくれていた社員が全社のMVPに選出された。営業部門以外で初めての受賞だった。受賞した彼女が言った言葉は今でも忘れられない。

「マチノさんとったどー!」満面の笑みだった。

最高に嬉しかった。

プライベートが復活

復活

これくらいのタイミングだったか忘れたが、僕は再婚した。

その結婚式のスピーチにハゲ社長と男前社長に来てもらうのだが、「あったこともない嫁さんの話なんかできない。会わせろ!」ということで、食事会をセッティングした。

この食事会でハゲ社長に言われた言葉が僕の人生を変えた。
なんでこんな話になったのかは全然覚えてない。
「やります!できます!たしかにやると思うけども、それは続かん、それやったら、週に1冊本読む。とか具体的に数字にせんとあかん」

それから毎週1冊本を読むようになった。圧倒的にインプットが増えて、アウトプットの質が上がっていくのが自分でも実感できた。

なんでそんな話になったのか?忘れたが、多分、嫁に提示している僕のキャリアプランについて話したんだと思う。役職と年収がいつこれくらいになってるよ。っていうプランだ。

それを見せていたから、昇進した時も「おめでとう」ではなく「半年遅かった?ね」だった。いい奥さんをもらったもんだ。

結婚しても平日の働き方は変えなかった。平日はご飯も一緒に食べない。お互い働いて忙しいのに、合わしている時間がストレスになるからだ。そこに理解のある奥さんでよかった。そのかわり土日はちゃんと休む。

新しい生活がはじまったある日、始発で出勤する為に、駅へ向かっていた。仕事も楽しく、テンションが上っていた僕は歩道で軽く跳ねた。すると着地する時に足をくじいた。激痛がはしった。うずくまって動けない。

でもなんとか、足をひきずり、会社に到着。社長に事情を説明し、病院に行ったら、骨折していた。通勤中だったので労災認定。みんなに爆笑された。

それ以来どんなにテンションが上っていても、歩道では跳ねないことにしている。

資本主義の現実に直面する

自分の担当事業が順調に伸びはじめ、仕事が楽しかった。いずれ、子会社化して、MBOしてIPOするんだと夢をみていた。

でも、世の中はそんなに甘くない。結局カネなんだと思い知らされる出来事が起こる。